APS-C一眼動画とSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Artレンズの相性

SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art
APS-Cの一眼動画撮影にオススメできる「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art」の特徴/理由を紹介していきます。
私が一眼を始めた頃、Canonの標準ズームを使っていたのですが、「もう一歩ステップアップしたい」と思うようになり、動画撮影に適した長く使える一本は無いかと、検索しまくっていました。というのも、カメラの世界には「レンズ沼」なる病気があり、あれもこれも欲しくなってしまうというので早い段階で相棒となるものが必要でした。

当初は「やっぱりCanon標準じゃないと」という思い込みから、Canon純正レンズを探していたのですが値段が高い;F値固定のLレンズは十●万円は覚悟しなければならず、悩んでいたときに出会ったのはSIGMA社のArtレンズでした。

単焦点3本ぶんに値する焦点距離

購入を検討し、レビュー記事などを調べていたときに目を引いたのが、あちこちで謳われていたこの「単焦点3本ぶんに値する」という売り文句です。単焦点レンズというのは、明るく画質も良い代わりにズーム操作ができないので、いちいちレンズ交換しなくてはならないデメリットがあります。その点、「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art」は28mm/35mm/50mmの単焦点レンズ3本をズーム操作で変更できる感覚(フルサイズ換算28.8~56mm相当なので)というのが、購入を決定づけました。

F1.8通しの明るさ

実はこのとき同社の単焦点レンズ「30mm F1.4 DC HSM Art」は既に所有しており、F1.4という驚異の明るさが創り出す美しいボケの世界を体感していた私は、1.4までいかずともボケの表現方法は撮影において必須だと考えていました。 また、ズームレンズというのは「ズームすればF値が暗くなる」のが一般的なので、「F値通し(ズーム操作をしてもF値が変わらない)」という点は動画に最適だと考えました。
ちなみにF1.8通しのズームレンズは世界初らしいです!フルサイズに比べ劣っているAPS-Cセンサーの”明るさ”という弱点も補っているため、暗所でもISOを少なく撮影できノイズを軽減できます。

のちのジンバル運用も考慮するとインナーズームが重要

このレンズは、Artというブランドを背負う素晴らしい画質を優先させた反面、手ぶれ補正の機能が付いていないデメリットがあります。なので、カメラ本体に手ぶれ補正機能が付いている必要があります。しかし、カメラ本体の手ぶれ補正は画面を少しクロップしてしまう(狭い範囲で切り取ってしまう)ので、結局画質が下がってしまい、本末転倒になります。

三脚・一脚で固定撮影するぶんには問題ないのですが、移動撮影をしたかったので、そうなると別機材として、ジンバル(スタビライザー)が必要になり、このインナーズームという特徴が重要になってくると考えました。
ジンバルでバランス調整した後にレンズの長さが変わってしまうとバランスし直す必要が出てくるかと思いますが、インナーズームは長さを変えずズームできるので、ジンバル乗せに最適です。

高い解像感

Artラインを謳っているだけあって画質を最優先させた”最高の光学性能と豊かな表現力”。
単焦点レンズにも引けを取らない解像度で、 APS-C一眼カメラ本体側では受け止めきれないほどのディテール(質感)をインプットしてくれる印象です。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art

フォーカス/ズームリングの粘り

また、動画撮影にとって重要なのがフォーカス・ズームリングの粘りだと思います。フォーカスやズームを操作したときにレンズによっては粘りの無い「スカスカ」なものもあるのですが、映像として撮る場合このスカスカした動きも影響してきます。SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Artはいい感じに回転に粘りがあるので、ゆっくりとしたリング操作で雰囲気のあるフォーカスやズームができます。

デメリット

デメリットは、レンズ本体の重さや大きさ、手振れ補正は無し、また防塵防滴ではないので雨の日など水滴には弱いようです。
世界初のF1.8大口径ズームレンズということで、この重さや大きさは性能を優先させた結果なのかと思いますが、現在2年ほどメインレンズとして使ってみた経験では、最初はたしかに重く感じましたが、今は慣れてしまったのであまり気になりません。
手ぶれ補正の件については、インナーズームの節でも記載した通り、カメラ本体の手ぶれ補正もしくは、三脚やジンバルで補う感じになると思います。

感想

2年ほどアレコレ使い込んでみた印象としては、重さにさえ慣れてしまえば、休日の散歩撮影から、親戚の結婚式、また仕事としての撮影までを高いクオリティで記録できる普段使いレンズだと思います。
ただ、いわゆる便利・万能ズームという使い方をするには、35mmというテレ側は物足りなく感じると思います。(木の上の野鳥や、子供の運動会でググッと寄ったりするには厳しいです。)

このレンズの使い方としては、28mm/35mm/50mmの単焦点レンズ3本を気軽に使い分けてじっくり撮影できる、ちょっと贅沢なレンズというニュアンスに近いかもしれません。
作品として多少構図などを決めて、人物や街の表情を撮影するシチュエーションに向いている気がします。「ボケ」という表現手段は乱用しすぎると逆に一眼初心者の代名詞のようになりがちですが、やはりF1.8の明るさは正義で、2次元の映像に奥行きを感じさせる重要な要素ですし、やっぱり何よりも楽しいことが一番です。明るいと楽しいです^^

また、正直なところ、一般的なDSLR(デジタル一眼レフ・ミラーレス)ではこのレンズの性能を最大に引き出せていないような感触さえあるので、そのうちシネマカメラを導入したときにその本領を発揮できる日がくるのではないかと楽しみにしています。

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